イヤホン・ヘッドホン業界で「ハイレゾ」という言葉が流行り始めて、けっこうな年月が経ちました。
年代・性別問わず浸透してきた感じですね。
日頃音楽をよく聞いたり、少しでもイヤホンに興味のある人なら
「今度買い替えるならハイレゾ対応のイヤホンがいいな~」
と言っているのを耳にします。
しかし、多くの人が誤解しているように思えます。
意外と知られていないとある事実…
それは、『ハイレゾ対応イヤホン』=高音質 ではないということ!!
じゃあ『ハイレゾ対応イヤホン』とは何なのでしょうか。
一言で言いましょう。
『ハイレゾ対応イヤホン』=「人間の意識では聞き取れないほどの超高音域が再生できるイヤホン」
のことです。
40kHz以上の高音を再生できるイヤホンを『ハイレゾ対応イヤホン』と呼びますが、
実際に人間の耳で聞き取れる高音は、一般的に16kHzあたりまでと言われています。
かなり耳のいい人で、20kHzが限界です。
楽器の中で高い音を出すものと言うとドラムのシンバル(シャーンッ!という音)がありますが、
あれが約16kHz程度の高さです。
ですので普通に音楽を聴くのであれば16kHzまで聞こえれば問題ないということですね。
そんな中で、ハイレゾ対応イヤホンは、「40kHz以上も再生できるよ!」と言っているわけです。
一応、色々な楽器が重なり合う中で40kHzくらいの超高音というのも発生はしてくるのですが、
聞こえないんじゃ、ね…。
果たしてそんな高い音が再生できて、意味があるのでしょうか…。
疑問ですよね。
一応、意味がある!という方もいます。
方、というか、メーカーなのですが、
SONYが典型的なハイレゾ推進メーカーですね。
SONYさんの主張としては、
「人間の聞こえる範囲を超えた高音を聞くと、意識的に音程としては捉えられないが、脳が快感を感じるようになる」
とのことです。
また、
「実際のライブなどの生演奏では発生しているわけだから、原音を忠実に再現するとなると、そこの超高音も再現できたほうがいい」
ということだそうです。
一理あると思いますか?
ないと思いますか?
超高音を浴びると快感を感じる、というのは実はある研究で明らかにされています。
しかしそれは、どうやら皮膚の感覚器で感じ取った場合のようです。
ライブに行くとなんだか全身が心地よくて、気分も高揚してくるのは、
そういった超高音周波数を皮膚で感じているからかもしれません。
実は森林浴なども、同じ原理で心地が良いようです。
この研究結果から考えると、イヤホンで鼓膜だけに40kHz付近の音を当てても、
あまり意味はなさそうですね。
逆にアメリカの2大老舗イヤホンメーカーのSHUREとWestoneはいっこうにハイレゾ対応イヤホンを作ろうとしません。
2016年にWestoneから発売された”W80″(実売18万円程度)は管理人も持っていますが、ハイレゾ対応ではないんです。
SHUREのロングセラーイヤホン”SE846″(実売10万円程度)も管理人が持っているお気に入りの一本ですが、これもハイレゾは非対応。
実際のところ高級イヤホンは、意外とハイレゾ非対応のものが多いです。
むしろハイレゾ対応のほうが少ない。
高級イヤホンに手を出したことのある方なら、誰でも知っています。
これも「『ハイレゾ対応イヤホン=高音質』とは限らない」ということの1つの裏付けではないでしょうか。
でももちろんハイレゾ対応で高音質なイヤホンも存在しますよ!
SONYでも”XBA-300″とかはハイレゾ対応で、かつとても高音質です。
まさか、ハイレゾ対応だと低音質、というわけでは全然ないので(笑)。
ただし「ハイレゾ対応ならさぞかし高音質なのだろう…」と一概に考えてしまうのは明らかに誤解ということですね。
ちなみに当記事を読む前に、他のサイトでハイレゾ対応について読んできた方だと、
こう思ったりしませんか??
「え、だってハイレゾイヤホンは、よりきめ細やかな音を再現できるんでしょ??」
「ハイレゾイヤホンは、CDの3倍とか6倍の情報量を再生できるんじゃないの??」
と。
間違いありません。再生できますね。
ですが、それは、ハイレゾ対応ではないイヤホンでも再生できます。(40kHz未満までの部分は。)
どういうこと?? となってしまいそうですが、
簡単な話です。
他のサイトでよく言われている、
「よりきめ細やかな音」
「CDの3倍とか6倍の情報量」
というのは、イヤホンの性能の話ではなく、
『流している曲(データ)そのもの』がいいデータか悪いデータか、という話にすぎません。
たとえば、youtubeに投稿されている音楽を聴くよりも、ちゃんとCDを買って聴いたほうが高音質ですよね。
そこの優劣にイヤホン自体は特に関係ありません。それと同じことです。
「よりきめ細やかな音」「CDの3倍とか6倍の情報量」というのは『ハイレゾ音源』(楽曲データ)の話で、この『ハイレゾ音源』はハイレゾ非対応のイヤホンでも再生できます。
40kHz未満の範囲でなら、これでもハイレゾ音源のきめ細やかなサウンドを十分楽しむことができるんです。
ここでもしハイレゾ対応のイヤホンでハイレゾ音源を聴けば、ハイレゾ音源に含まれる40kHz以上の超高音(CD音源には含まれていません)も再生できますが、
人間には認識できませんよ、という話です。
それを、あたかも「ハイレゾイヤホンだからハイレゾ音源が再生できるんだよ!!」とでも言わんばかりの書き方をするから、
「ハイレゾイヤホンなら高音質間違いなしなんだ!」という変な誤解がついて回るんです。
まとめると、「イヤホンがハイレゾ対応かどうか」と「音源がハイレゾかどうか」は別で考えたほうがいいということですね。
ハイレゾ非対応イヤホンでもハイレゾ音源を人間の可聴域内で普通に聴くことはできますし、
ハイレゾ対応イヤホンでハイレゾではないCD音源を聴くことだってできますから。
以上、ハイレゾ対応イヤホンについてでした!
誤解に振り回されず、自分の本当に好きな一本を探しにいきましょう!♪